導入──静かな夜に、真っ赤な数字が心を刺す
「もう、株なんて二度とやらない」
深夜2時、私はモニターの前で、そうつぶやいていました。
パチパチと鳴る冷却ファンの音が、痛みに響く。
株価が上がると信じて買った銘柄は、逆に急降下。気づけば含み損は60万円を超え、胃がキリキリ痛む。「なぜ自分だけ……」そんな思いが頭の中をぐるぐる回る夜でした。
それから10年。運命を変えたのは、あるひとりの男との出会いでした。
岡田修三(仮名・65歳)。証券会社に勤めたのち、個人投資家としても実績を積み、今や年間利益は平均1,000万円超。今回は、彼の“勝ちパターン”と“地獄の記憶”をもとに、株で儲けるための具体的な方法をお伝えします。

第1章|欲が視界を奪う:「感情で買う人間は、感情で沈む」
「初心者は“欲”の中で溺れるんです」
そう語る岡田氏の口調は静かでしたが、眼差しは鋭かった。
1990年、東京都中央区・兜町の証券ビルで、岡田氏は某鉄鋼株に全力投資し1,200万円を損失。当時は営業成績トップで鼻高々でしたが、その一撃でゼロからの再出発に。彼が言うには、「誰かが儲けた話を聞いてから買ってる時点で負けてる」。
では、なぜ人は飛びつくのか?
答えは「上がる理由ではなく、“上がってほしい願望”で買ってしまう」から。
彼の失敗例をもう一つ。2013年、リニア関連銘柄の急騰に便乗して短期トレードを繰り返したところ、わずか3日で80万円を失う結果に。
「チャンスだと思った。でも本当は“落とし穴の底”だったんです」
──あなたは、“願望”で買っていませんか?
第2章|時間こそ最大の味方:「3年持てる株しか買うな」
岡田氏は、派手なトレードを好みません。
「5分足?そんなのは“ポーカー”と変わらない」と笑います。
彼の投資スタンスは明快。「“3年以上、安心して保有できる企業だけを買う”」。たとえば、以下のような実績があります。
驚くべきは、この株を「買った日」を本人が今でも記憶していたこと。
「あの日、社長インタビューを四季報で読んだ。
“この会社は長く信頼される”と感じたんです」
株を“情報”ではなく、“人と時間”で選ぶ。それが、彼の真骨頂でした。
第3章|ネット情報に潜む地雷:「掲示板に書かれた頃には、もう遅い」
一見役立ちそうな株の情報。しかし、“出回った時点で腐っている”のが相場の現実です。
岡田氏が長年かけて記録してきたデータがあります。
なんと、掲示板やSNSで話題になった翌日にその株を買った場合の勝率は18.6%しかなかったというのです(記録期間:2015年〜2020年/追跡対象:銘柄数312/勝ち:58、負け:254)。
「みんなが騒いでる時点で、プロはもう利確してるんです」
彼が推奨するのは、「決算短信・有価証券報告書・四季報の3点読み」。それを紙に書いて自分で要約する。
実際、彼のメモにはこんな数字が並んでいました。
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自己資本比率 62.5%
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営業利益率 11.8%
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配当性向 41%
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ROE 13.2%
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株主構成:金融系38%、外国人28%
まるで“企業のカルテ”のようです。
──あなたは、株の「本当の姿」を自分の目で見ていますか?
第4章|決める、守る、勝ち続ける:「ルールを裏切ると、地獄を見る」
2008年。岡田氏はリーマンショック直前、サブプライム関連株に突っ込んでいました。
「この時期は“負ける方が難しい”とまで言われていた」そうです。が、現実は非情でした。
1週間で400万円が消え、しばらく取引を休止。
その後、彼はルールを一から作り直します。
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利益が30%以上:半分利確
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損失が15%に達したら:全売却
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一度に持つのは5銘柄まで
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毎月末に運用記録を印刷し分析
驚くべきは、「“損切りルール”を1度破っただけで、30万円を失った」ときの記録も保存していること。
「守らないと、絶対に“またやる”んですよ。人間は甘いから」
──あなたは、自分の「売るルール」を決めていますか?
“買い”より“売り”が投資家の真価を問う。これは、岡田氏が繰り返し語った言葉です。
結び|焦らず、怒らず、諦めず。「株は人間力を試される鏡だ」
岡田修三という投資家は、決して天才ではありませんでした。
むしろ、何度も大きな損を出し、それでも“立ち上がり続けた人”です。
「株は“メンタルの戦い”です。
冷静さ、継続力、そして自分を律する力が試される。
でも、それを乗り越えたとき、ようやく“勝つ側”に立てるんです」
今、あなたが苦しい状態にいても構いません。
今日から、自分だけの投資ルールをつくり、1行でも記録をつけてください。
時間を味方につけて、焦らず一歩ずつ進むこと。それが、唯一の近道です。
次に「勝てた」と笑うのは──あなたの番かもしれません。